ニュージーランドの不動産市場、2024年の動向

ニュージーランド Note

2024年もそろそろ終わり、ここ数年を振り返りながら昨今のニュージーランドの不動産市場についてを忘備録としてまとめます。

ここ1、2年間で大きく状況が変わりました

まずは2022年と2023年の住宅価格変動について

コロナ禍の初期、ニュージーランドの不動産市場は活発でした。

特にオークランド、ウェリントン、それからクライストチャーチの都市部の価格が急上昇しました。

しかし2022年後半から2023年にかけてニュージーランド中央銀行(RBNZ)が金利を引き上げ、インフレも加速しました。

その結果としてコロナが落ち着くのと足並みをそろえるように、住宅市場は冷え込みました。

その流れで2023年はオークランドを含む多くの地域で住宅価格が下落し、また地方でも伸びが鈍化しました。

先の見えない金利上昇

2022年から2023年にかけてニュージーランド中央銀行はインフレ抑制を目的に政策金利(OCR)を段階的に引き上げました。

これにより住宅ローンの返済額が徐々に上がり、金利引き上げが発表されるごとに住宅購入をあきらめるニュージーランド人が続出しました。

特に20~30代の若年ファミリー層は住宅購入を諦め、ライフスタイルとライフプランの再考を余儀なくされました。

結果として先の見えない金利上昇は住宅購入意欲と需要を損ない、不動産価格の下落を引き起こしました。

賃貸市場への影響

一方、賃貸市場は右肩上がりでした。

住宅価格の高騰により30~40代のファミリー層が「10年、20年単位の長期的な賃貸層」にシフト ⇒ 安定した収入を持つ優良な借り手が増えたことでホットな投資先に ⇒ 需給バランスが崩れ、結果として賃貸料は上昇しました。

特にオークランドやウェリントンなどの主要都市部では高い賃貸需要が続きました。

不動産投資家への締め付け

これを受けて政府は不動産投資に対する税制変更と購入制限など、大きな締め付け政策にかじを取りました。

特に住宅投資のための税制優遇措置の撤廃は市場へのインパクトが大きく、不動産投資家が新たに不動産を購入する際の負担が増えました。

この流れで住宅の供給が更に鈍りました。

地方不動産市場の活性化

その一方で地方都市の不動産に注目が集まりました。

都市部の価格高騰を避けたい政府の思惑、リモートワークの普及、ファミリー層のライフプランの変容などを背景に、都市圏から郊外や地方への移住が増加しました。

これにより不動産市場が活発化した地域がちらほらと出てくるようになりました。

政府の介入と次の一手

政府は不動産市場の過熱を抑えるべく、住宅供給の促進や住宅価格の抑制を目的とした政策を進めました。

特に公共住宅の供給や住宅購入の補助金が強化されました。

つまり大枠としては都市部の貧困層をターゲットにした住宅の供給と、鈍化した経済の対応を建設業への発注で支えるものでした。

2022年と2023年の住宅価格変動、まとめ

この2年でニュージーランドの不動産市場は大きく変動しました。

金利の上昇、政府の政策、そして経済の影響を受け、大筋としては住宅価格の高騰と市場の冷え込みが見られました。

その一方で都市部の賃貸市場や地方都市の不動産市場は活性化し、不動産市場は地域による差が広がった2年間となりました。

2022年と2023年の住宅価格変動、まとめ

ニュージーランド不動産市場、2024年の総括

住宅価格の変動

2024年は不動産市場は2023年の状況を引き継ぎ、住宅価格は地域ごとに異なる動きを見せました。

オークランド、ウェリントン、クライストチャーチの都市部では2022~2023年の価格下落が底を打ち、緩やかな回復基調に変わりました。

住宅需要は賃貸需要の増加も背景に依然として高く、しかしながら購入は高金利により阻まれた格好です。

しかし地方不動産市場は行き過ぎた投資によって需給のバランスが崩れ、供給過多に陥りました。

その結果、都市部は回復基調で地方都市は価格下落という形になりました。

金利上昇と金融政策の影響

2024年もニュージーランド準備銀行は高い政策金利を維持し続けました。

それにより買い手が市場から撤退し始めるなど、混迷が続く1年となりました。

移民への住宅需要

そこに追い打ちをかけるように移民政策の緩和があり、新規移民数が増加しました。

その結果として主要都市部の家賃上昇が更に進みました。

供給の課題と新規建設

住宅供給に関しては建設コストの高騰が問題になりました。

また建設業界の人材不足が深刻化し、政府の思惑通りには進まない1年となりました。

一部の開発プロジェクトは遅延または中止され、特に政府が目指していた「貧困層への対応」と「手頃な価格帯の住宅供給」は2025年度の課題として残りました。

投資市場の変化

政府による投資用住宅に対する税制変更や規制の強化が影響し、投資家の撤退が始まりました。

しかしその一方で長期的な賃貸需要と金利低下を見越して、賃貸物件を維持する流れも強まりました。

2024年の住宅価格変動、まとめ

2024年のニュージーランド不動産市場は経済的・政策的な影響を受けつつも、安定化への兆しが見え始めました。

しかし金利高と供給不足の問題は依然として残っているために、投資家の動きは二極化しました。

全体としては都市部の住宅価格は緩やかな上昇、賃貸価格は高止まり、地方都市は住宅価格も賃貸価格も下降基調に入った1年となりました。