ニュージーランドで働く際には労働者の権利を知るのが重要です。
NZでは就労関係の法律がアルバイトにも適用されますので、後々のトラブルを避けるために有給、最低賃金、祝祭日の手当、トライアルの給料などを確認する必要があります。
このページでは就職先の探し方、ワーホリの代表的な就職先、留学中の仕事、所得税、タックスリターン、保険までを包括的に考えます。
2022年度のニュージーランドの最低賃金

ニュージーランドの最低賃金は2022年04月01日以降、税込みで21.20ドル/時間です。詳細はNZ労働省のサイトで紹介されています。
ただしここから12~15%程度が源泉徴収されますので、実際の手取りは平均で18.00~18.50ドル程度になります。
ニュージーランドの所得税の税率
ニュージーランドの所得税は累進課税方式で14000ドル/年までの所得税は10.5%、14001ドルから48000ドルまでは17.5%です。
しかし所得税の源泉徴収税率は勤務先により若干の違いがあり、最終的には年末調整(タックスリターン)で過不足が調整されます。

またニュージーランドを去る際には、IRDにタックスリターンを申請する必要があります。
この詳細は以下にまとめましたので、併せてご確認ください。
ニュージーランドの所得税の仕組み

例えばレストランAでは従業員の給料から14%を源泉徴収 ⇒ 額面21.20ドルのアルバイトですと、手取りは18.23ドル/時間になります。
またレストランBでは15%を源泉徴収 ⇒ 手取りは18.02ドル/時間です。
この状況で500時間の就労 = 10600ドルの収入があった場合、A社でもB社でも過払い分の税金がタックスリターンで返金されます。
具体的にA社であれば「支払った14% – 正確な税率10.5%=過払い分の3.5%」で371ドルが返金され、B社であれば4.5%の477ドルが返金されます。

この結果、最終的な手取りはA社とB社で同額になります。
源泉徴収率は各会社が任意で決めています
14000ドル/年までの所得税は10.5%、14001~48000ドル/年には17.5%の所得税が掛かります。
ですから例えば年に2万ドル稼いだ際の正確な所得税額は2520ドルですし、3万ドル稼いだ場合の所得税は4270ドルです。
それを見越して企業側は源泉徴収を少し多めに設定します。
たとえば月の所得が1500ドルまでは12%、2500ドル/月までなら16%といった具合です。
その他、100ドル単位で割合を変える会社もありますし、祝日出勤の数や配偶者控除を組み込んで細かく計算する会社もあります。
しかしいずれにせよワーホリや学生ビザでの就労ですと、「給料明細の手取りは18.00~18.50ドル程度」に落ち着くことが多いです。

後述しますが、有給休暇を8%の賃金で毎月清算する会社もあります。その場合は最低時給であっても19~20ドル/時の手取りになります。
ニュージーランドでアルバイトをする際に認められている権利
まず第一に祝祭日に働いた場合、時給は1.5倍以上になります。
これは正社員でもアルバイトでも平等に認められている基本的な権利ですので、もしも給料に反映していない場合は雇用者に請求可能です。
また有給休暇もアルバイトか正社員に関係なく認められています。
ですから給料明細には「leave(未消化の有給休暇の日数 or 時間)」や「Pay-as-you-go(有給休暇の給料組み込み)として8%以上の有給手当」が、基本給とは別に追加記載されていなければなりません。
それからトライアル期間であっても、最低時給は保証されます。
例外は「17歳以下の就労」と「大学の専門コースや資格取得のために、年60単位以上を取得できる限定されたトレーニングコースで働くケース」くらいですので、一般的なレストランやカフェなどでの就労で最低時給を下回る契約は労働法違反です。つまり就職後、1時間目から最低時給が適用されます。
以上を踏まえつつ、ニュージーランドを離れる際のタックスリターン(ニュージーランドの確定申告)にも備えて給料明細は大切に保管し、更に毎日の就労時間をカレンダーにメモしておくと間違いがありません。
ニュージーランドの就職は「離職を見越した準備」がキーポイントです
ニュージーランドでも就職する際に気を付けるポイントは、「就労条件のチェック」です。
後々の雇用トラブルを避けるために支払い方法や就労条件を書面化し、雇用者側の同意を得る必要があります。
- いつから働くのか
- 給料は幾らなのか
- 給料の支払日はいつになるのか
- 祝日出勤(holiday pay)と有給休暇(leave)について
- 離職の何週前までに、退職する意思を伝えるべきか

とりあえずこの5点は書面もしくはメールにして、雇用者からの同意を控えておきましょう。
ニュージーランド到着後、すぐには働けません

ニュージーランドで働くためには携帯電話、銀行口座、IRDナンバーの3つが必要です。
そしてこの3つを揃えるのに通常であれば2~3週間程度はかかりますので、到着後すぐに働くことはできません。
詳細は上記ページにまとめましたが全てがうまく行った場合でも就職できるのは到着の10日後です。余裕をもって「最初の1か月は観光する」、「英語の勉強をする」と考えておくと間違いありません。
ニュージーランドのワーキングホリデーの代表的な就職先
ワーキングホリデーですと「日本食レストラン」、「ツアーガイド」、「お土産物屋」、「フルーツピッキング(ファーム)」の4つが代表的な就職先です。この4つであれば探して見つからないことはまずありません。
またそれ以外ですと「現地のカフェ」、「美容院」、「車の整備工場」、「ホテル業界」に就職するパターンも少なくありません。
特に日本人美容師の求人はとても多く、オークランドなどの都市部であれば恒常的にどこかのサロンで募集が出ています。

ですからもしも日本で美容師として働いていてニュージーランドでも美容院への就職をお考えの場合、日本を出発する際にハサミやシザーケースをお持ちになると良いかと思います。
ニュージーランドでの就職先の探し方

過去の例から言いますと、7割程度までが「口コミ」と「学校の掲示板」で就職先を決めています。
そして残りの3割は「インターネットの掲示板や新聞を見て」、「日系フリーペーパーの応募を見て」となっています。
ですから留学する場合は在学中にクラスメートとの繋がりを大切にしつつ現地のフリーペーパーで日系の就職先を探し、下記のサイトなどを利用して現地の就職先を探していきます。
留学中の友達ネットワークは重要です
留学する場合は卒業後も Facebook などでクラスメートと情報共有するのが基本です。
たとえば「積極的なクラスメートが仕事をゲット⇒ そこに友達として就職する」、また「友達の紹介で安いフラットに入る」などは、ワーキングホリデーあるあるです。
なんとなく営業トークのようになってしまうのですが、もしも予算に余裕があるなら1か月だけでも留学 & 世界各国の友達を作る & SNSで繋がっておくことで、就職も難易度がかなり下がります。
おすすめのお仕事紹介サイト
基本、このサイトだけで十分ですが、以下のサイトも合わせてチェックしておくと良いでしょう。
「ちゃんと仕事を見つけられるか、かなり心配なんだけど・・・」
クラスメイトやフラットメイトも就職先を探していますので、無理に自分一人で抱え込まないのがポイントです。
実際、欲しい情報や体験談は、ほぼほぼ周りから入ってきます。
ですからニュージーランドでの職探しで大切なのは「一歩踏み出して周りに声を掛ける勇気」です。
最初は中々に難しいかもしれませんが、留学中 / フラットでは周りの友達に「私もお仕事、探してるんだよね」と声を掛けていきましょう。

それだけで情報は入ってきますし、思いがけない出会いにも繋がります。
ニュージーランドの英語学校やエージェントの就職サポートについて

まず第一に、全ての英語学校で英文履歴書の添削をしてくれます。
学校によって「選択レッスンの中で対応する」、「放課後のアクティビティやワークショップ内で対応する」、「専用デスクで対応する」などの違いはありますが、添削してくれないということはありません。
ですから留学をされる方は英文履歴書の心配はありません。
ちなみに英文履歴書の作成は以下の特設ページをご確認ください。
これを参考に下書きを作成 ⇒ 学校で添削して貰う流れで完璧な英文履歴書を作れます。
そしてその後は会社やファームに英文履歴書をメールで送り、先方のマネージャーと交渉する流れです。つまり全体としては日本でアルバイトを探す方法と同じです。
学校や留学エージェントが就職活動を代行することはありません

以上を踏まえつつ、学校のカウンセラーさんや留学エージェントが、派遣会社のようなサポートをすることはありません。
つまり学生から依頼を受けて職を探し、先方と交渉し、「では、明日からここで働いて下さい」といった斡旋業務をすることはありません。企業との交渉や就職先のマッチングは留学エージェントや学校ではなく、派遣会社が扱う領域です。

留学エージェントの中には「就職サポート」を大々的に宣伝しているケースもありますが、よく確認してみますと「アドバイスまで」となっているパターンがほとんどです。そしてそのアドバイスは、わりとこのページに書いてある内容と同じだったりします。
いずれにせよ学校も留学エージェントも、就職サポートは「分からない部分があればアドバイスをする」といった補完系サポートが一般的です。つまり就職先は自分で探す必要があります。
就職するには、就職活動できる英語が必要です
たとえば学校のカウンセラーさんが親身になって帆走 ⇒ 面接無し & 履歴書も無しで就職先を紹介してくれたとしても、仕事中の英語まで翻訳してくれるわけではありません。結局、英語が話せないとすぐに首になってしまいます。
結論としてニュージーランドでの就職は「自分で職をゲットできるくらいの英語力をつける」というのが第一の目標になってきます。
ニュージーランドでアルバイトを探す際の注意点
日本で職歴やアルバイトの経験があるのなら、ニュージーランドで仕事に就けないということはまずありません。きちんとしたアプローチで職探しをすれば、大抵は1~2週間で職は見つかります。
ただし職種や収入、また働き方に条件をつけると急に難易度が上がります。
これはニュージーランドの最低時給が高く、専門職は高度なスキルや資格だけでなく語学力が求められているのが原因です。
ですからもしも以下のようなご要望がある場合、就職するのは「相当に厳しい」状況です。

- 特定の店や業界でしか働きたくない
- ○○という小さな街で働きたい
- 畜産系ファームで働きたい
- 時給30ドル以上でないと働けない
- 就学中に働きたい
これらの条件があっても決まる時はすんなりと決まりますが、それでも戦略として「チャレンジにはなるけど頑張ってみる」という姿勢がポイントになってきます。
ニュージーランドの園芸系ファームで働く

この点はニュージーランドの農場(ファーム)で働くにまとめましたので、そちらをご確認ください。

10月から年明けまでに募集が出やすいブルーベリーは比較的ラク & 稼げますので激熱です。また南島、11月からクリスマスまでの短期チェリーも人気です。とりあえずこの2つはチェックしておいて損はありません。
畜産ファームは難易度が高いです

畜産系ファームは危険が伴い、また高度な専門知識が必要な職業の一つです。
ですから就職に際して語学力と職歴を求められることが多く、未経験者が入るのはかなり難しい業種です。正直、「日本で畜産の経験がある方なら、ギリ行けるかも・・・」という感じです。
そんなわけで畜産系ファームは園芸系に比べて募集が少なく、また「どうすれば就職できるのか?」にお答えできることがほぼありません。
それでも無理に答えるのなら、「日本で畜産ファームの経験を積んで英語力を高め、募集が出ていないファームにも積極的に応募する」ということになるかと思います。
学生ビザやワーキングホリデービザでの就学中に働くのが難しい理由

ワーホリや就労許可付きの学生ビザをお持ちであれば就学中でにも働けますが、以下の理由からその難易度は高めです。
- 思ったよりも働ける期間が短い
- 就労時間が限定される
- ホームステイ滞在中はまず働けない
まずは「働ける期間」について、ニュージーランドで働く際にはIRD番号と銀行口座が必要ですし、フラットや職を探すのにも時間が掛かります。
それで例えば6か月の留学であっても働けるのは最大で5か月程度、通常であれば「働けても3~4か月」 ⇒ 「短期間なので面接で落とされやすい」状況です。
そして同じ理由から「1か月や2か月の就学中に働き始める」のは積極性だけではなく、運も必要になってきます。
次に「就労時間」について、働けるのは授業の無い時間のみ ⇒ 結果として「18時からのレストラン勤務」などがメインになります。
ただし既に就学を終えてフルタイムで働けるライバルが沢山いる中での求職ですので、難易度は高いです。

たとえば飲食ですとランチとディナーの両方に入れる人が選考に残りがちです。ちなみに授業をパートタイムにしても結局はフルでは働けませんので、難易度はわりと高いままです。
そして夕方以降のアルバイトは帰宅が22時や23時になってしまいますので、安全性の観点からホームステイ中のアルバイトを許可するホストファミリーはごく稀です。
ですから就学中のアルバイトをお考えの場合、まずはフラットに移る必要があります。

- フラットへの引っ越し、IRD番号の申請、職探しにも時間が掛かりますので、到着後すぐには働けません
- 就学中のアルバイトは難易度が高いです
- パートタイムの就学でも状況はほぼ変わりません
- ホームステイ中は基本、働けません
その他、学生ビザでの就労には「NZQAがカテゴリー1に認定した学校に限る」という条件がありますので、学校によっては留学中の就労が認められていない場合があります。
この点は学校選びの際に弊社スタッフまでご確認ください。

それでも実際に就学中に働いている学生は少なくありません。タイミングが良かったりクラスメートから紹介されるなど、働ける時は拍子抜けするほど簡単に働き口が見つかります。
ニュージーランドで就労中の保険

ニュージーランドの労働法では雇用側に労働者の保険加入を求めていません。つまり「就労中の保険は労働側の自己責任の範囲で考えるべき」とされています。
しかし無保険状態で働くのだけは絶対にありえません。
流石に海外で就労中に無保険というのは無謀&破天荒すぎます。
そして結論を書けば、ワーホリでも就労ビザでも、Orbitの一般プランに加入するのがベストです。
Orbitならば「医療費は安心の無制限補償 & 携行品補償なし & レストランや一般事務職での就労」の場合、掛け金は12か月でも560ドル =3.9~4.5万円(1NZドル=70~80円で計算)と激安です。

ユニケア保険やサザンクロス保険や日本の保険は忘れてしまってOKです。掛け金も高いですし、補償面や条件面で惨敗しています。詳細は以下をご確認ください。
また特に就労ビザ(ワークビザ)で滞在中の保険については特設ページを用意しました。
正直、ほとんど全ての方にとってOrbit社がベストになりますが、それでも念のために上司や周りの方にもアドバイスを求め、じっくりと精査してみてください。
いずれにせよ海外ですので保険だけはしっかりと、です。最後の最後で助けになるのは、なんだかんだで保険だけです。
ニュージーランドのアルバイトの収入の目安 / サンプルモデル

ニュージーランドのアルバイトは大抵のケースで最低自給からのスタートです。ですから8時間@週5日で働きますと、手取り月給は3300ドル程度です(40時間@18.0~18.5ドル@4.5週=3240~3330ドル/月)。
しかし最初からフルタイムで働ける仕事はそれ程多くありません。最初は週に20~30時間でスタートして、徐々に就労時間が増えていくパターンが多いです。つまり月収は手取り1500ドルからスタート ⇒ 徐々に2000ドル、3000ドルと上がっていくイメージです。
以上より例えば最初に3か月の留学 ⇒ 6か月のアルバイト ⇒ 3か月のラウンド(NZ国内旅行)をお考えの場合、イメージとしては下記のような収入フローになります。
滞在1~3か月目 / 無収入期
留学中。その間に銀行口座、IRD番号を準備する。無収入。
滞在4か月目 / 無収入期
フラットに引っ越してアルバイト開始、週に20時間くらいで就労スタート、ただし翌月の給料日までは無収入。
滞在5か月目 / $1500~
週に40時間、安定してバイトに入る。先月のバイト代の1500ドル/月程度が振り込まれます。
滞在6~9か月目 / $3000@4回
引き続きフルタイムで働き、3000ドル/月の収入が5回振り込まれます。ただし最後の給料は退職後に振り込まれます。
滞在10~12か月目/ $3000@1回
仕事を辞め、貯まったお金でニュージーランド国内旅行。
以上より半年のアルバイト収入の目安は16500ドル程度、1NZドルを80円で考えれば132万円の収入を見込めます。
ただし最初の給料日までは貯金でやりくりする必要がありますので、ワーホリ / 留学の全体バランスは計画的に考える必要があります。

ちなみに毎月の出費は平均で1500ドル程度 ⇒ つまりフルタイムで働くと毎月1500~1800ドル = 12~15万円くらい貯金できます(1NZドル=80円で計算)。つまりニュージーランドは物価が高いものの、働くと急にラクになる国です。