後述の日本大使館発表のデータにある通り、ニュージーランドの治安は悪いです。
犯罪発生率は強盗が日本の38倍、侵入窃盗は20倍、性犯罪は21倍と各段に高く、スリやひったくり、置き引きや車上荒らしのリスクも高いです。
この記事はニュージーランドで安全に過ごす為の注意点をケースごとにまとめ、犯罪に巻き込まれやすい時期にも言及しまています。
それでは早速、留学やワーキングホリデーで滞在する際に気を付けるべき点をご紹介します。
ニュージーランドの犯罪発生率
まずはデータを見てみます。
以下のファイルは少し古いですが、2019年12月に在ニュージーランド日本大使館が発表した「日本とニュージーランドの犯罪発生率の比較」です。
在ニュージーランド日本国大使館発行 / 安全の手引き
かなり衝撃的な内容ですが、強盗が日本の38倍、侵入窃盗は20倍、性犯罪は21倍です。
この詳細は在ニュージーランド日本国大使館から公式発表(PDFファイル、「安全の手引き」)されています。
つまり安全と言われているニュージーランドでも実際には日本の何十倍もの事件が発生しているのです。
ニュージーランドが安全だったのは20年以上前の話です。現在は「そこまで危険ではない国」といったところです。
つまり日本に比べてニュージーランドの治安は良くありません
基本的にニュージーランドは「世界的にみても安全な外国」で、治安の良さは「日本の次に安全」と言われることも多いです。
実際にNZに20年以上住んでいる私からしますと生活する上で命の危険や犯罪行為を感じることはありませんし、日本との違いはほぼありません。
しかしそれでも外国ですので窃盗や泥棒、置き引きなどの犯罪は多く、日本と同じ感覚で住み始めると怖い目に遭ってしまいます。
結局のところニュージランド人や永住者、また日本人以外の外国人がNZを安全だと考えているのは、「無意識に危険を避けられるレベルまで自己防衛に慣れている」からにすぎません。
これはどこかの国のスラム街の出身者からすれば、夜の新宿が安全に見えるのと一緒です。そもそもの前提が違うのです。
ですから犯罪を避ける為には「安全そうに見えても日本とは違う」という視点と「自分の身は自分で守る」という心構えが大切です。
「自己防衛」と「心構え」は日本の外務省やニュージーランド警察、政府観光局のサイトでも最初に書かれている注意事項です。実際にこの視点を持っているかどうかで犯罪に巻き込まれる可能性が大きく変わります。
ニュージーランド国内の日本語での相談窓口
犯罪に巻き込まれてしまった場合、また性犯罪やパートナーからの暴力についての相談、それから災害による被害を被った際には日本国総領事館に相談するのがベストです。
総領事館のスタッフさんから現地の警察や性犯罪専門の捜査機関、家庭内暴力専門の機関、ニュージーランド政府などへの取り次ぎや案内をして貰えます。
友人や経験者が担うのは心のケア、大使館や総領事館が担うのは実務的な対応です。この2つを上手く使い分けてトラブルに対処していきましょう。
家庭内暴力と性犯罪の専用相談窓口
生活トラブルの中でも特に家庭内暴力と性犯罪について、 ニュージーランド政府は一時避難シェルターを含む高レベルな対応とヘルプセンターを用意しています。
英語に自信が無くても大丈夫、専門の担当者さんが親身にサポートしてくれます。自分の事だけではなく現場を目撃した場合や気になる事がある場合も相談出来ます。勿論、秘密は厳守してくれます。
性被害は警察でも窓口を用意しています
また警察も性被害に関する専門部署を用意して、秘密厳守の相談窓口を開設しています。
そしてこれらの機関はNZ政府が提供している無料の日本語電話通訳を利用できます。
ニュージーランド滞在中に性被害に巻き込まれた / 巻き込まれそうになった / 巻き込まれるかもしれないという場合は、すぐに上記の政府系機関にご相談ください。
事件や犯罪に巻き込まれた際の対応方法と緊急連絡先
以上を踏まえつつ、緊急時の具体的な対応方法は以下をご確認ください。
本ページが「いかにして犯罪を避けるか?」をご紹介しているのに対し、この記事は「実際に犯罪に遭ってしまった際の対応」に焦点を当てています。
ニュージーランドを安全に過ごすための注意点
ニュージーランドで典型的な犯罪は窃盗と泥棒、つまりこっそりとモノを盗まれるパターンです。
実際に過去の例やデータでも日本人の被害は置き引きや車上荒らし = こっそり盗まれる系が多いです。
犯罪者は公園や住宅街、繁華街などで「誰かがうっかりする」のをじっと待ち、付け込む機会を狙っています。そしてその網に「防犯意識の低い日本人」が引っ掛かってしまうパターンが多いのです。
その対応策として在ニュージーランド日本大使館やNZ警察、またニュージーランド政府観光局からも具体的なアドバイスが出ています。
この点、専門家からのアドバイスを一つ一つ見ていきましょう。
性犯罪を避けるための注意点
- 男性であっても女性であっても、夜間の一人歩きを避ける
- 朝や昼でも人気のない場所は避ける
- 見知らぬ人の誘いに乗らない
- バーやクラブで初対面の人から勧められたドリンクを飲まない
- 露出の多い服装を避ける
日本ですと一人歩きや服装を意識することは少ないかもしれませんが、ニュージーランドでは十分に注意しなければなりません。
またこの中で特に気になるのは「見知らぬ人の誘いに乗らない」です。
最近は youtuber などがニュージーランド国内でヒッチハイクすることも多いのですが、それを真似すると普通に犯罪に巻き込まれます。
それから逆にヒッチハイカーを乗せるのも避けてください。
ニュージーランドだけではなく世界中で毎年、ヒッチハイクに関連する行方不明や殺人事件が発生しています。
侵入窃盗(泥棒)被害を避けるための注意点
- 地域の治安情報を収集する
- 部屋を借りる際に通りからの死角や防犯システムの有無を確認する
- カーテンを利用して外から家の中が見えないようにする
- 毎日の施錠確認を徹底する
- 在宅時や就寝時も携帯電話を手元に置いておく
これは「日本にいる時よりも1段階、防犯意識を高める」イメージです。
たとえ数分でも家を離れる際には鍵をかける、いつでもすぐに警察に連絡できるようにしておくのが大切です。
また「地域の治安情報」は英語学校の先生やクラスメート、働いている方は同僚や上司に話を聞いてみてください。実際の経験や空気感はとても参考になります。
スリや置き引き、ひったくりなどを避けるための注意点
- 空港やホテルでは常に所持品を視界に入れ、いつでも身体の一部で触れておく
- 後ろポケットに財布や貴重品を入れない
- バッグは開けたままにせず、必ず閉じる
- 多額の現金や貴重品を持ち歩かない
- ATMはモール内や銀行のものを使い、不審者がいる場合は利用をやめて立ち去る
- ATMの暗証番号の入力を他人に見られないよう気を付ける
最初は難しいのですが、慣れると無意識でスーツケースやバッグを管理できるようになります。
また財布が見えている状態は危険ですので、必ず隠す癖をつけておきましょう。
それからフードコートやカフェなどで荷物や上着で席を確保するのは絶対にNGです。
これは泥棒からしてみれば親切にプレゼントされているようなもので、すぐに盗まれてしまいます。
「バッグで席を確保」は日本人の盗難被害の王道パターンです。もちろん泥棒が100%悪いのですが、「そりゃそうなるよ」的な行動ですのであまり同情はされません。イメージ的には「1万円札をテーブルに置いて5分席を外したら盗まれた」という感じです。
車上荒らしを避けるための注意点
- 車内の見える部分に物を置かない
- 車から離れる際には必ずロックする
- 人通りの少ない場所の駐車を避ける
- 強盗は運転中も狙っていますので気を抜かない
- レストランでキーをテーブルに置くなど、人目の付く場所でキーを出さない
上記で一番重要なポイントは「見える部分に荷物を置かない」です。
泥棒は数ドルのために躊躇なく窓を割りますので、駐車する際には車内に盗るべきものが何もない状態にしておきましょう。
サングラス、スマホ、ショルダーバッグ、 充電コードなども全て隠しておきます。ちなみに車に備え付けの小銭ホルダーにある数ドルのコイン狙いで窓を割られることもありますので、小銭ホルダーを使うのは避けましょう。
それから「運転中、助手席に置いたバッグをバイクに乗った泥棒が盗むパターン」や「赤信号で停止中に1人がドライバーに話しかけ、仲間が助手席のバッグを盗む手口」も有名です。
ですから運転中は助手席の窓を締めておくのが基本です。
車上荒らしや助手席から盗んだりの犯行は数秒で行われます。狙われたらほぼ終わりですので、狙われない動きが大切です。
その他の注意点
- 日本にいるご家族に旅程や住所を予め伝えておく
- パスポートや航空チケット、カード類の詳細を家族に伝えておく
防犯ではないのですが、これも重要なポイントです。万が一の際に役立ちます。
ニュージーランドで犯罪に巻き込まれやすい時期
犯罪トラブルに遭いやすいのはニュージーランド到着直後と、ニュージーランドの生活に慣れて気が緩んできた頃に集中しています。
具体的には到着後1~2週と滞在3~4か月目が危険ですので、この時期は特に気を引き締めて行動しましょう。
ニュージーランドの風土病と医療水準について
割と見逃してしまいがちですが、風土病と医療水準は旅の安全性と治安に直結します。
そしてこの点、 ニュージーランドは全く問題ありません。
固有の風土病や伝染病もなく、医療水準は先進国の一般的なレベルに達しています。
ただし医療費は高額ですので、ニュージーランド滞在中は医療費を無制限で保障してくれるタイプの保険に加入する必要があります。
ニュージーランド滞在中の保険
どんな保険でも良いのですが、「医療費の補償が無制限」だけは外せません。
それを踏まえつつおすすめは「クレジットカード付帯の無料保険とOrbit社の組み合わせ」です。掛け金を日本の保険の1/4~1/7に押さえつつ、最大限の保障を受けられます。
クレカの無料保険で荷物をカバー & NZの安い保険で医療費の無制限補償を確保するパターンです。ちなみに掛け金はワーホリの1年で4万円から、補償内容だけでなくコスパ的にも最強の保険です。
海外滞在中の保険は必須、「保険料は入国料」と割り切って必ず加入しておきましょう。
ニュージーランドの治安のまとめ
ニュージーランドの治安は世界的には「わりと良い方」ですが、日本に比べると「かなり危険」なレベルです。
そして犯罪を避ける為には「安全そうに見えても日本とは違う」という視点と「自分の身は自分で守る」という心構えが必要です。
具体的には事前に調査して治安の悪い地域に近寄らない、隙を見せない、いつでも警察に連絡できるようにする、保険に加入しておくなどが大切なポイントになってきます。