海外出発前の役所手続き

海外出発前の役所手続き

出発準備で気になるのが年金や健康保険、住民登録などの役所手続きについてです。
これらを止めるべきなのか、また止めるには一体どうしたら良いのかなど、分からない部分も多いかと思います。

ただ、結論から先に書きますと、3か月未満の留学は基本、何もしなくてOKです

そして12か月以上の留学やワーキングホリデーは市区町村役場で海外転出届を提出し、年金と健康保険を止めておきます。

そして4~11か月までの留学につきましては、市区町村や考え方によって対応が変わります。

この点、以下を参考にしながら一つ一つ考えていきましょう。

海外渡航前に考える必要のある役所手続き

一般的には、渡航前に考える必要のある役所手続きは以下の5つです。

  • 住民票(海外転出届)
  • 国民健康保険
  • 住民税
  • 国民年金
  • マイナンバー

ただし社会サービスや地域の組合に加入されている場合などは、その点も手続きが必要になります。

海外に出発する際の、住民票の手続き(海外転出届)

住民票(海外転出届)

1年以上のご渡航の場合、現在お住まいの市区町村役場に海外転出届を提出する必要があります(これを通常、「住民票を抜く」と表現します)。

逆に1年未満の留学につきましては「日本に在住しながらの海外旅行」という扱いになり、住民票を抜く必要がありません。

ワーキングホリデーの渡航期間は任意です

ワーキングホリデーは現地で15か月までの延長が出来ますし、またワーキングホリデー後に他の国に行く可能性もありますので、1年を超える渡航として申告可能です。また逆に1年未満の渡航として申告する事も出来ます。

つまりワーキングホリデーの渡航期間は届出される方のお考え次第であり、住民票を抜くかどうかも、申請者のお考え次第です。

住民票の相談窓口
各市区町村役場です。
必要書類や窓口の時間など、あらかじめ電話で確認しておきましょう。
海外転出届の提出
出発の14日前~出発前日までが目安です。
届出人
通常は本人、もしくは世帯主と指定されています。
届出に必要なもの
本人確認書類、印鑑など。
この点は市区町村によって多少変わりますので、事前に担当課までお問い合わせ下さい。

ちなみに転出届が受理されますと、転出証明書が発行されます。
そしてこの転出証明書は日本帰国後の転入手続きに必要になりますので、ご実家などで大切に保管しておいて下さい。

海外渡航前の国民健康保険

国民健康保険

海外転出届を出して住民票を抜いた場合、国民健康保険は自動的に脱退(資格喪失状態)となります

そして国民健康保険を脱退しますと保険料の納付義務がなくなり、同時に保険給付を受けられなくなります。

「・・・それで大丈夫なの? (‘-‘*)」

そもそも国民健康保険は、日本国内での医療に焦点をあてています。
ですから海外での治療につきましては【日本の国民健康保険の対象となる治療をした場合、医療費の7割を保険金として支払う】決まりで且つ、その保険金は実際に掛かった治療費ではなく、【日本で治療した場合の標準額】を元に計算されます。

「あれ?でも海外の治療って高額なんじゃ・・・ (‘-‘*)」

そうなんです。
また更に言えば日本では未認可の薬を使うケースなど、日本の健康保険では補償対象にならない治療がある点にも注意が必要です・・・と言っても、注意した所でどうする事も出来ないのですが・・・。

それ以外、国民健康保険に入る為には、国民年金と住民税も支払う必要があります

以上より結論として「そこまでしても3割負担」、「日本の標準額での計算」、「カバーされない治療もある」という事で、海外医療を保障する枠組みとして国民健康保険に加入するメリットはほぼありません。

渡航中は日本の海外旅行保険や現地の学生保険に加入する方が補償も手厚く、出費もおさえられます。

またニュージーランドの現地保険の加入方法は、以下でご紹介しています。

海外に滞在中の住民税について

住民税について

1年以上の渡航であれば、住民税は01月01日時点で日本に住民登録されているかどうかで、全てが決まります

例えば2020年12月31日に日本を出発する場合はその日付で日本の現住所が抹消されますので、2021年06月01日からの1年間は住民税が掛かりません。

しかし翌日の2021年01月01日に日本を出発する場合は、2021年06月01日からの1年間も住民税が発生します(給料所得者の住民税は通常05月31日〆、06月01日スタートです)。

ですから年末年始から1年を超える海外滞在をお考えの場合、多少無理をしてでも年内に出発するのがベターです。それだけで十万円単位の節税に繋がります。

ただし海外転出届の提出には「1年以上の海外滞在を予定している」という要件がありますので、もしも日本を離れる期間が1年未満の場合、たとえ事前に住民票を抜いたとしても住民税の支払い義務が生じます

その場合は日本帰国後に当該市区町村から、未納分の納税通知が届きます。
(日本帰国後、新たに住民票登録する際にパスポートの出国日と入国日のチェックがあります)

住民税の金額は年収によって大きく変わります。
またその他、ご家族の状況や控除額によっても変わりますが、概算としては「年収200万円ならば6.5万円」、「年収300万円ならば12.0万円」、「年収400万円ならば18.0万円」、「年収500万円ならば24.5万円」といった所です。

ちなみに年収は01月01日から12月31日までの収入で計算され、給与所得者の場合、「翌年06月から分割で、給料からの天引き」で納めるのが一般的です。

そしてこの12回の天引きが完了する前に離職した場合は「残りの納税額に対する納税通知書が個別に届く」 or 「退職時に会社が一括で徴収する」の2択になります。

住民税の徴収スケジュール

住民税の徴収スケジュール

以上より、例えば2020年01月01日から2020年11月末までに300万円を稼いで退職 ⇒ 2021年01月10日に日本を出発する場合、2021年06月からの1年間で支払うべき住民税額は12万円程度になります。

ですから納税通知書は「2021年05月までに支払うべき、住民税の残額分」だけでなく、「2021年06月から2022年05月までの12万円」も届きます。

しかしこの方が2020年12月30日に日本を出発する場合、2021年度の12万円を支払う必要がなくなります。つまり役所から届く納税通知書は「2021年05月までに支払うべき、住民税の残額分のみ」になります。

・・・と、ここまでが基本パターンなのですが、実際には1年未満の渡航であっても有耶無耶になって納税通知書が届かないケースや、役所で詳細を訊かれて個別判断となるケースもあるようです。

いずれにせよ住民税の扱いは市区町村によって変わりますので、詳細は事前に市区町村役場に問い合わせをしておくと間違いがありません。

住民税を免除しない市区町村もあります

通常、ワーキングホリデーの渡航であれば住民税を徴収しないケースが多いのですが、ワーキングホリデーを単純な旅行とみなし、1年以上の離脱をした場合でも収税する市区町村があります
つまり「ワーホリは【旅行】だから海外滞在ではない」=「日本に現住所がある」=「住民税を徴収」という考え方です。

以上よりお住まいの市区町村がどういう運用をしているかを、事前に確認しておく必要があります。

海外に滞在中の納税管理人を選任する

これは「渡航中に日本で収入がある」、「毎年、確定申告をしている」といった方が、しなければならない手続きです。

具体的には「海外滞在中に不動産所得がある方」や、「確定申告が必要なのに、出発までに申告が出来ない方」などがこれにあたり、税務手続きの代理人として納税管理人を指定する事になります。

ちなみに納税管理人は、ご家族か税理士を指定するのが一般的です。

また「給与所得者が中途退職をして且つ、年末調整を受けていない場合」は過払い分が戻って来る還付申告の対象となりますが、この申告には5年間の猶予がありますので、還付額が完全確定する渡航後の申告が一般的です。

ただし税金関係につきましてはケースによってベストな手続きが変わりますので、詳細はお勤め先やお近くの税務署、または国税局電話相談センターにご相談ください。

海外に出発する前に確定申告をする

納税管理人の選任

基本としては税務署に状況を説明して、必要ならば確定申告する流れになります。
また確定申告は「国税庁 – 確定申告書等作成コーナー」から申告可能です。慣れていれば20分程度、初めての方でも1時間あれば完了します。

ちなみに必要な書類は源泉徴収票、所得控除に関する書類(医療費の領収書や生命保険料控除証明書など)となります。

また記入する上で分からない点はお住いの地域の税務署で詳しく説明して貰えますので、控除に関する点などを積極的に質問してみましょう。

海外滞在中の国民年金の取り扱い

国民年金について

海外滞在中の国民年金は任意加入手続きをして掛け金を払い続けることも出来ますし、海外滞在中を「カラ期間」にすることも出来ます

ちなみにこのカラ期間とは「年金加入期間としてカウントされますが、将来の補償額がその分だけ減算される期間」のことです。

例えば65歳までに5年しか掛け金を支払っていない場合は最低必要加入期間の10年に足りませんので、65歳になっても年金を受け取れません。
しかし、もしもこのケースで5年のカラ期間がある場合、そのカラ期間も加入期間としてカウントされ、「45年加入したケース」から見て5/45の割合で減額された年金を受け取れます。

とりあえず年金につきましては個々の状況・お考えがある部分ですのでコメントが難しい所ですが、それでもワーホリなどの長期渡航中はカラ期間にされる方が多いようです。

障害基礎年金の請求権が無くなります

もしもカラ期間中に障がい者になってしまった場合、障害年金の請求が出来ません。ちなみに障害年金額は1級で97.4万円/年、2級で77.9万円/年です。
国民年金の任意加入とカラ期間の違いとしては、この点もポイントになるかと思います。

掛け金の納付免除や納付猶予があるかもしれません

そしてまた前年度の所得や失業の状況によっては、掛け金の納付免除や納付猶予があるかもしれません

これは前年度の所得や扶養家族、社会保険料控除額等によって条件が変わりますが、毎月の賭け金が25%から100%まで免除される制度です。これらが認められた場合は年金加入期間だけではなく年金額のアップもありますので、カラ期間にするよりも有利になります。

この点も気になる方は、お住まいの地域の年金事務所までお問い合わせ下さい。

海外転出時のマイナンバーの取り扱い

下記の内閣府ホームページの質問コーナーにあります通り、海外転出届を出す場合は個人番号が失効します
ただし個人番号失効後も、個人番号カード自体は本人が保持・管理します。

Q3-19 海外へ転出する際は個人番号カードや通知カードは市区町村へ返納が必要でしょうか。
A3-19 個人番号カード・通知カードどちらでも返納が必要です。
ただし、国外転出後にマイナンバーカード・通知カードは失効しますが、当該カードを返納した者がマイナンバーを把握する手段を確保するため、当該カードの返納を受けた市区町村長は、国外への転出により返納を受けた旨を表示し、当該カードを返納した者に還付します。

つまり海外転出時には「個人番号カード(もしくは通知カード)を市区町村役場にお持ちになり、海外転出の旨をお申し出 ⇒ カードの失効手続きをして貰い、その上で各自が個人カードを大切に保管する」という流れになります。

海外渡航中、個人カードは日本の実家などで保管します

海外で個人カードを紛失してしまいますと大変ですので、個人カードはご実家に保管するのがベストです。
それを踏まえつつニュージーランドで銀行口座を開設する、もしくはIRD番号を申請する場合はマイナンバーの番号が必要になりますので、「個人カードの表裏両面のコピーをとる」、もしくは「鮮明な写メをスマホに保存する」などで、現地に番号をお持ちになると良いでしょう。

まとめ:海外出発前の役所手続き

海外出発前の役所手続きの結論

以上を受け、海外出発前の役所手続きは以下のようにする方が多いです。

3か月までの海外転出
海外転出届は出さず、特に何もしないケースがほとんどです。
4~11か月までの海外転出
海外転出届を出せる市区町村であれば念の為に届出をして(現地で予定が変わって長期滞在になるかもしれません)、国民健康保険とマイナンバーを失効させます。

また国民年金は免除もしくは猶予を視野に入れつつ、基本的にはカラ期間にしておきます。海外転出届を出せない場合でも免除もしくは猶予を考え、やはり基本的にはカラ期間にしておきます。

12か月以上の海外転出
海外転出届を提出し、国民健康保険とマイナンバーを失効させます。また国民年金は免除もしくは猶予を視野に入れつつ、基本的にはカラ期間にしておきます。

それから年末年始のご出発をお考えの方は多少無理をしてでも年内に出発 ⇒ 翌年の住民税の免除を考えます。

その他、日本国内で不動産所得などがある場合は詳細を税務署に確認した上で、納税管理人を選任します。

また役所手続きに必要な書類は、以下になります。

  • 免許証など、身分証明書
  • パスポート、ビザ
  • 印鑑
  • 年金手帳
  • 健康保険証
  • 住民基本台帳カード
  • マイナンバー個人番号カード

ちなみに健康保険証と住民基本台帳カードは原則として市区町村に返納する事になりますので、念の為にコピーを取っておくと間違いありません。

また大抵の市区町村では海外転出届を渡航14日前から受け付けていますので、出発の3週前に電話でお問い合わせ ⇒ 必要書類を最終チェックして、スムースな手続きを目指しましょう。

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